正しい紳士服の選び方

インナーは必ず着よう

私たちの身体は常に新陳代謝を繰り返しています。今私たちの身体を構成している細胞も、やがてその役目を終えることになるのです。

役目を終えた細胞は「不要なもの」として体外に押し出されます。それは全身で起こっています。体内でも、身体の外でも起こっています。私たちは体外にたまったそれらの老廃物を「垢」と呼んでいます。つまり、私たちが「身体の汚れ」としている「垢」も、もともとは私たちの身体を構成する細胞だったわけです。つまり生きている限りは私たちはこれらの「汚れ」から逃れることはできないということになります。

それら絶対に逃れることができない汚れは、徐々に全身を覆います。寝ていても、活動していても、私たちの身体は新陳代謝をやめることはありません。つまり、一度身体をキレイにしたとしても、それらの汚れからは生きている限りは逃れることはできないのです。私たちの身体は時間経過とともに汚れに包まれていくわけです。それも外因性のものではなく、自分の身体が汚れをつくりだしているのです。

ですから、「インナー」とはただ身体を保温するためのものではないのです。それは身体から発生する「汚れ」から衣服を守るものでもあります。スーツは直に肌に接するものではないですから、それらの垢による汚れはほとんど気にしなくてもいいかもしれません。もっとも、「パンツ」部分の下着がない部分、太ももやふくらはぎの部分は直に肌に接するものですから、この限りではありません。ただ、上半身部分はインナーを着用しなければほぼ全面が肌と接することになります。そうなると「ワイシャツ」の汚れは確実に起きます。

どのような人でも新陳代謝をしているものですから、生きてい限りは身体に汚れが発生するのです。それらの汚れが着ているワイシャツを汚染することになります。これらの老廃物は時には「汗」を媒介にして衣服に伝わります。上半身の中でももっとも汗にまみれる部分は「ワキ」です。インナーを着ないでワイシャツを着用すると、まずはこの部分に汗ジミが生じることになります。衣服に染み付いたこの「汗ジミ」は、通常の洗濯ではなかなか取れないことが多いでしょう。特に白いワイシャツであればそれは顕著です。白いワイシャツに染み付いた汗ジミは目立つものですし、なかなか取れないのです。

ここに一枚インナーを差し挟むだけで、ワイシャツはそれらの老廃物からかなり守られることになります。インナーを着用した時と、インナーを着ずに直接ワイシャツを着た際には、その汚れ具合がまったく違うことに驚くものです。通常、インナーの方がワイシャツよりも値段が安いものですから、インナーを汚すということのほうが経済的でもあります。一度ついてしまった汗ジミはなかなかとれることがないため、そのワイシャツは実質放棄してしまうことが多いのです。

日々着用するワイシャツだからこそ、大切に着続けたいものです。長くキレイに着続けることで、経済的にも救われるのです。ワイシャツを長く着用するためには、「インナー」が絶対にかかせません。夏で暑かったとしても、その暑い夏だからこそ、インナーを着用した方が良いのです。そうすることで効率的な衣服の着回しが可能になります。