正しい紳士服の選び方

正しいサイズを購入しよう

紳士服はその着こなしが大切です。「着こなし」とはサイズも含めて「自分に合っているかどうか」ということです。デザインだけを気にしていてもいけないのです。

私たちはひとりひとりが身体のサイズが違います。身体のサイズを数値化した一般的な指標はさまざまなものがあります。身長、体重、首周り、肩幅、胸囲、ウエストなど、細分化すればキリがありません。ただそのように一般的に計測しないものもあります。それは手の大きさなどの衣服に関係ないと思われている部分です。手がいくら大きても、身体が小さければ小さいサイズのスーツを着ることができるからです。

ただ、本当に「それでいいのか」という疑問は残ります。「自分に合う」ということは、自分の身体の「悩んでいる部分」を解決するものであるかもしれません。

「身体が細いのに手はやたらと大きい」というと、バランスがあまりよくありません。別に自分にとってはコンプレックスでもなんでもないかもしれませんが、それをスーツの着こなしで自然に見せることができます。それは「手が大きい」ということを「がっしりとした体型」に転換することで実現が可能です。つまりわざと肩幅の大きいスーツを着て、手の大きさが目立たないようにするということです。例はこれだけではありません。身長があまり高くないと嘆いていたとしても、靴の踵が高めのものを選び、さらに体型ギリギリの細身のスーツを着用すれば、誰でも身長が高く見えるのです。

服を「着る」ということは、その衣服を利用して「見せたい自分」を演出することができるということです。「服に着られる」ということは、「似合わない」を通り越してなんだか違和感を持ってしまうということです。服を着るということと「着られる」ということの違いはこれに尽きます。「見せたい自分」を演出するために、その衣服をどのように利用することができるのかということが、その衣服を選ぶ上でもっとも大切なことなのです。服に着られている人というのは、そのような「センス」がなく、一見して違和感があるのです。

言葉だけで表せば、しっかりとしたスーツを着ていて小物も持っていて、靴もキレイ、ただ、どことなく違和感が残っているのです。「着慣れない」という言葉が似合うかもしれません。それらの衣服を着慣れていないため、どうしても人から「何かかが変だぞ」と思われてしまうのです。それは着慣れていないことから生じる所作の違和感なども起因しているかもしれません。

「サイズがあったスーツ」というのは、ただ自分の体型に合わせるだけではないのです。そのスーツを着用することで、自分がさらに魅力的に見えるようにするということが大切なのです。それは「自分自身をよく理解する」必要があります。自分のいいところ、強調すべき身体の利点、逆に隠した方がいい身体の難点などをしっかりと自分で把握しておくことが必要です。自分専用のスタイリストがついていればいいのですが、一般の私たちにはそんな存在はいません。だからこそ、自分で自分の良さ、悪さを把握して、それを衣服で強調したり軽減したりすることが必要なのです。

それが出来る人というのが「服を着ることができている人」ということになります。「着こなし」というものはコーディネートだけではないということなのです。