正しい紳士服の選び方

商談の際の基本的なスタイル

ビジネスは交流することではじまります。交流することは社会では「基本」とされている行為です。私たちはいかに人と向き合うかということを日々問われているのです。

ビジネスにおいての交流は、それ自体が「仕事」です。まだ取引したことがない相手に対してコミュニケーションを図り、新たな商流を作り出すことを「営業」といいます。営業はビジネスの最前線であり、会社が収益をあげるための基盤的な行為です。どのような職務についていたとしても、「営業」的な感覚は求められるものです。直接顧客と接する人でも、バックヤードで事務手続きを司る人でも、その企業が「なにで稼いでいるのか」ということを念頭にいれて動くことが必要です。

「仕事」というものは「与えられた責任を果たす」だけでは成立しない側面もあります。各部門、各プレーヤーが「新しい領域を切り広く」ということが求められる場合もあります。「新しい」とはそれまでにリーチできていなかった領域や、新規の顧客を開拓することです。ずっと同じ取引先で同じような売り上げだけで満足していては、ビジネスはいっこうに拡大しません。新しい顧客、新しい事業に取り組むことで、より事業を拡大できるようにするのが企業というものです。その企業の最前線の兵士である「営業マン」が着用する衣服は、戦闘服であり、それをまとった営業マン自体が商品であり、看板であり、企業の「武器」なのです。

営業に適したスタイルというものが存在します。それは相手に対して不快を与えないようにしつつ、自分の存在、自分が所属する企業の存在をそれとなくアピールし、印象に残るようにすることです。見た目だけでは商談は決まりませんが、見た目を度外視しても決まりません。営業マンにもとめられるのは総合的なバランスです。自分がどのように人に見られているのかということを客観視すること、そして自分の言葉に重みを持たせることなど、あらゆる面で求められることが違います。

営業の現場にもよりますが、営業マンはまず「相手に気に入ってもらえるようにする」ということが何よりも大切です。相手に対してどのような印象を持ってもらうのかということは、最初に気をつけることです。それには所作と服装、話し方と表情が大切です。ただ自分に与えられたノルマをクリアしようとして、商材を相手にねじ込むだけではいけないのです。

営業の際に身にまとうスーツは、あまりハデなものではいけません。ただ、控えめすぎてもいけません。相手はあなたを通じてあなたが所属している企業を見ます。所属している企業を判断する際、あなたのスーツを見て、「羽振りがよさそうだ」とか、「ボロボロだ。売れていないのか」などと判断することになります。また、清潔であることも大前提です。清楚な印象はどのような場面においても悪くはたらくことはないでしょう。肩にフケがついていたり、ひげがだらしなく伸びていたりすると、それだけで印象はかなり悪くなってしまいます。ネクタイの色、ワイシャツの色も相手に対して自然な印象を与えるものでなければいけません。

商談時のスタイルほど気を使わなければいけないものはありません。ただ「硬すぎる」というだけではいけなくて、逆に「軽すぎる」ということでもいけないのです。