正しい紳士服の選び方

スーツは何着必要?

スーツはなかなか頻繁に購入するようなものではありません。ただ、一着を着続けることも気持ちのいいものではありません。それでは紳士服店でスーツを購入する際、一体何着のスーツがあればいいのでしょうか。

スーツにもいくつかの用途があり、その用途によって着るものが違ったりします。普段のビジネス着が一番ポピュラーなものであり、毎日着用する目的であることは間違いありませんが、それ以外にもスーツが求められる局面があります。それは「冠婚葬祭」です。「誰か」の人生の節目となるそれらの日には、その日専用のスーツを着用することが求められます。スーツは私たちにとって「かしこまった」ものであることは間違いなく、スーツを着ることでそれらの場に対して引き締まった気持ちで臨むことができるのです。

そうなると、確実にビジネス用、冠婚葬祭用とスーツを別に持っておく必要がでてきます。冠婚葬祭の中でも「結婚式」と「お葬式」はそれぞれ別のスーツがいいかもしれません。ただ、これらは「礼服」としてまとめることもできます。ネクタイの色などを工夫して、それらの衣服が適したスタイルになるように調製することもできます。この時点でスーツは2着から3着になっています。ですが普段着用するための「ビジネス用途」のスーツはまだ一着しかありません。

一着のスーツを毎日着ると、もちろん痛みは早くなるものです。スーツも数万円するものですから、少し汚れた、少し傷ついたからといってすぐに買い足すことはできないものです。これが単純に2着のスーツを着まわしてみると、その痛む速度は「半分」になります。スーツを着回すことでそれらの寿命は一着のときの倍長くなるということです。また、スーツも全身が等しく痛むわけではなく、まずはパンツから傷んでくるというのが相場です。そのために「ツーパンツスーツ」を2着用意していたとします。そうすると2つの上着に4つのパンツということになります。上着は週に2~3回着用し、パンツは週に1回か2回着用するということになります。

このローテーションであれば、一年近くはキレイな状態を保ったまま過ごすことができます。つまり、ツーパンツスーツを2着という選択肢が最低限で、かつ効率の良い着まわし方ということになります。紳士服店では「2着目が半額」となっている場合が多いもので、同時に購入すれば最低限の出費で長く着続けることができるスーツを得ることができるのです。

ビジネス上スーツを必ず着なければいけないということであれば、最低限この編成でセットを所有していればかなり長く大切に着ることができ、且つ値段も最小限で済みます。新社会人などは面接時に着用したリクルートスーツをそのまま仕事に用いることもあるかもしれませんが、就職が決まったらまずはツーパンツスーツを2セット用意しておけば、当分持つのです。社会人になりたての頃は予算もなかなか厳しいものがあるかもしれませんが、最初にこのようなセットを組んでおくことで、結果として一番効率の良いスタイルに収まることでしょう。

紳士服店で「2着目が半額」となっているのは、そのようにすることで一度の購入金額を高くしたいだけではなく、そうすることで着用する人が効率的にスーツを着回すことができるためでもあります。