正しい紳士服の選び方

靴とスーツの関係とは

スーツに合わせる「靴」は革靴と決まっているわけではありません。日本では比較的「革靴」等のビジネスシューズでなければいけないという風潮が強いようですが、欧米では必ずしもそうではありません。

アメリカンスタイルでは、スーツに対してスニーカーを着用しているケースもあります。それはそれでも許される場であるからということもあります。風潮として、それでも構わないと考えられていることも大きいでしょう。日本のなかでも、職場によってはスーツとスニーカーの組み合わせでいい場所もあるかもしれません。ただ、そのような職場ではそもそも「スーツを着ない」ということになっているかもしれません。

クールビズ、ウォームビズをはじめ、日本でもさまざまなビジネススタイルが確立しています。ビジネスカジュアルでもいい職場もあります。そもそもカジュアルのままでも良い職場もあるでしょう。さまざまなスタイルで働くことができるようになっています。ただ、やはりどのようにスタイルが多様化したとしても「スーツには革靴」というのが今の私たちの考えであり、嗜好です。そこを無理に曲げる必要はないのかもしれません。スーツを着ると気が引き締まる、ネクタイを締めると気が引き締まる、働くための服装があることで、私たちは気持ちを切り替えることができているのかもしれません。

革靴はお世辞にも長距離を歩いたりすることに適した靴であるとはいえません。スタイルとして確立されたそれは、実用性よりも様式美の方が、意味合いが強いのかもしれません。それがスーツと相まって、私たちが考えているビジネスマンのスタイルになります。最近よく見かけるのが「茶色」の革靴です。この色のビジネスシューズは一見オシャレに見えて実はそうではないものです。スーツとの合わせ方によっては人に違和感を与えてしまうものです。どのような局面にも適していて、応用がきく無難なものはやはり「黒」のビジネスシューズでしょう。

働き始めると実感として持っていると思いますが、「スーツ」というものは実に実用的でないのです。一番的なものでは伸縮性がなく、ヒザを曲げるとすぐにくるぶしの辺りまで見えてしまいます。その際、人の目につくのは靴下と「靴」です。スーツがたくしあがった際に、「どのような靴を履いているのか」ということがあらわになるのです。その際に人がイメージしている一般的な靴でなければ、人は違和感を覚えることになるでしょう。

自由なようでいて自由ではない「スーツ」の着こなしは、人に対してさまざまなイメージを与えるものです。その中で一見関係無いように見える「靴」も、実は様式美の中に組み込まれた重要なものであるのです。靴をはきこなすこと、バランスを取ることはとても大切なことであり、少し勘違いするだけでとても「滑稽」になってしまうものなのです。靴を上手に選ぶことは、自分の細かいところまでをしっかりと演出することでもあります。自分がどのような存在として人に捉えられたいか、スキのないビジネスマンとして自分を演出したいのであれば、靴は無難であることが一番です。スーツとうまくなじむ色は、「黒」です。茶色はオシャレでもなんでもなく、「ただの勘違い」と捉えられるかもしれません。