正しい紳士服の選び方

髪型と服装の関係

服装もさることながら、その服装にあった「髪型」というものがあります。中学生や高校生の頃から、髪型に関してさまざまな試行錯誤を凝らすようになった人は少なくないのではないでしょうか。

そして髪型や服装の規制がなくなった「大学時代」に目一杯自分のオシャレを楽しんで、やがて社会人になるためにまた常識的な髪型に戻すということはごく一般的な流れです。そのような時、髪型を引き締めたときに「自分はこれから社会に出る」と気を引き締めた人も多いことでしょう。「社会人とはこうあるべき」という漠然としたイメージに自分を近づけることで、自分が社会に立つ実感が不思議と湧いてくるものです。

日本人は保守的です。髪の色も「黒」が多いのです。その「大多数」の中から外れてしまうだけで、なんだか「はみ出している人」というイメージを持たれてしまうのです。「はみ出す」ことで社会から外れてしまうような気がします。逆にそれが人によっては心地よかったり、わざとそうして見せたりと、「髪は黒いもの」というイメージに良くも悪くも縛られているのが私たちです。そしてビジネスの現場で求められるものは「清潔感」であり、人と接したときに違和感や妙な印象を持たれないことでもあります。「見た目が武器」、「個性が武器」と考える人もいるかもしれませんが、それが通用する場面と通用しない場面があるのは間違いありません。

どのような仕事に就くのかによってもこの「髪型」の問題はついてまわります。社会人として無難なスタイルでいることが逆に目立ってしまうような場合もあります。業種、現場によって、望ましいスタイルに違いが出るのです。

人によって体型もさまざまですし、見た目もバラバラです。人によって似合う髪型にも違いがあります。それらの違いや個性をさりげなく活かして、人に「好感を持ってもらえる」ようなスタイルをどのような場面でも目指すべきです。この意識はもしかすると男性では稀薄なものかもしれません。女性であればメイクをして身なりを整えることは当たり前のこととして受け入れられるかもしれませんが、男性ではなかなか「人にどう見られるのか」ということが理解できないかもしれません。

それでも、社会にいる以上は人と接することは避けることができないものです。どのような服を着てどのような髪型でいるのかということは、実際は「自由」です。自由であることは誰もがわかっていて、相手の「それ」に対してとやかく言うようなことも少ないでしょう。ただ、直接スタイルに対して何かを「言う」というようなことはなくても、「何かを感じる」ということは自然にあります。そしてその「ファーストインプレッション」の結果、「相手はチャラチャラしている」と考えたり、相手がどうにも好きになれないと考えたり、さまざまな印象を持つのです。その印象の持ち方も「自由」です。

ただ服装だけではどうしても自分のことを伝えきれるものではなく、髪型と相まってその人のイメージがつくものです。話してみると「良い人だ」と感じたりすることもあるかもしれません。ですが、「話す必要がなくて、嫌な印象を持ってしまった相手」に対してわざわざ「話してみようかな」などとは考えないものではないでしょうか。