正しい紳士服の選び方

コーディネートは知性を表す

ビジネスマンとして自分を表現する一番の方法は「仕事」そのものです。ビジネスにおいては互いの仕事そのものが「コミュニケーション」であり、責任を果たし合うことが最良の「会話」となります。

ただ、お互いの責任を果たし合うところに至るまでが重要で、一番難しい部分でもあります。社内であれば、否応なしに仕事を通じたコミュニケーションが発生します。それらのコミュニケーションを通じて、あまり知らなかった同僚のことを知ったり、「丁寧な人だ」だとか、「がさつな人間だ」というような評価を下したりするものです。ビジネスは馴れ合いではなく、互いの責任を果たし合う、逃れることができないコミュニケーションなのです。

ただ、これが「違う会社」となればそのコミュニケーションが図れるようになるまでに時間がかかります。また、互いに責任を果たし合う仲になれないケースもあります。仕事というものは妥協が許されないものです。「この人と仕事がしたい」と考えたとしても、状況がそれを許さない場合があります。また、仕事には「それを決める人」というものがついて回ります。いわゆる「決済者」です。決済者に気に入られなければ仕事をはじめられないというような状況も考えられるのです。

そのためにはまず、「自分をアピール」することが大切です。ひとつの会社に入るためにも、また新しく取引をはじめるためにも、まずは自分のこと、自分の会社のことをよく思ってもらって信頼してもらうことが大切なのです。そのための入り口として、そのための代表として、会社の看板として、「営業マン」がいます。もっとも容姿を気にしなければいけないのはそのような会社の看板を背負った営業マンです。

「容姿」や「服装」というものは、その人のセンスそのものです。そして、その人を通じてその人が語る会社、仕事のことを判断するしかないのです。ですから、「相手にどう見られるか」ということを考えることはとても大切で、自分の好きな服装をしているだけではいけないのです。「このようなだらしない格好の人が多い会社なのか」であるとか、「このような派手でチャラチャラした人ばかりがいる会社なのか」という捉えられ方をされてしまうと、それが「どうしても嫌だ」という人には受け入れてもらえないのです。

スタイルというものは知性を体現したものです。そのスタイルで人のセンスを問います。そのスタイルで人の嗜好、その会社の風潮を読み取ります。そのようなことを通じて、仕事は始まるものなのです。ただ条件が良い、儲かる、それだけで仕事が始まればいいのですが、そうはいかないのが「人」です。どんな人にも好感を持って貰えるようなスタイル、会社の知性を表すことができるスタイル、相手の心をくすぐるようなスタイルが求められるのです。逆にいえば、服装はビジネスにおいて「武器」になるということです。服装を武器にすることで、さらに仕事が効率を増したり、営業成績があがったりするものなのです。

自分がどのように見られるのかを考えること、そのような意識が大切です。ただ仕事をすれば良いというふわけにはいきません。「人から見られている」ということを考える必要があるのです。